「トランスジェンダーと確認されたため」女性用トイレ侵入を刑事事件として扱うか慎重に検討ー日本

自認の性と周囲の受け止め トイレ利用の難しさ | LGBTQ | NHKニュース

ことし5月、大阪の商業施設で戸籍上の性別は男性で性自認は女性の40代の利用客が女性用トイレに入り、施設から警察に通報されるトラブルがありました。

施設には「女性の服を着た男性がトイレにいる」と苦情が寄せられていました。専門家はどうすれば多様な性を認めながら共に生きていけるか考えていく必要があると指摘しています。

警察が事情を聞いたところ「子どものころから女性用のものが好きで、自分は女性だと自覚している。戸籍上は男性なのでだめだとわかっていたが女性として女性用トイレを使った」と話したということです。

この利用客は職場では男性として働いているということですが、休みの日には女性の服を着て外出していたということです。

その後の捜査でも心と体の性が一致しないトランスジェンダーであることが確認されたということで、警察は刑事事件として扱うべきかどうか慎重に検討しています。

商業施設にはほかの客から「週末のたびに女性の服を着た男性がトイレを使っていて怖くて利用できない」という苦情が寄せられていたということです。

法律の専門家はどう見ているのでしょうか。

正当な理由があるとされれば、建造物侵入などの罪に問われることはないということです。
ジェンダーの問題に取り組んでいる太田啓子弁護士は「戸籍上の性別と異なるトイレを使ってもただちに違法になるということはない。日常的にトラブルなく女性トイレを利用しているトランスジェンダーは多くいる」と指摘します。

また、太田弁護士によると一般的にトランスジェンダーの人はトラブルを避けるためトイレ利用をめぐっては慎重に行動しているということで、こうしたトラブルになるケースは非常に少ないということです。
その上で、“男性でも『心が女性』と言い張れば女性用トイレを利用できる”“周囲の女性は不安に思ったとしても何もできない”という誤解がインターネットにあふれているとして「トランスジェンダーを犯罪者と同様に扱う偏見が広まり、当事者はこのような差別に深く傷ついている」と指摘しています。

一方、民事裁判では、職場のトイレ使用をめぐる制限について不合理とは言えないとした判決もあります。

様々な場で、望ましいあり方について議論や検討が行われています。
社会学の立場からジェンダーの問題に詳しい中京大学の風間孝教授は「性自認に合ったトイレを使いたいというトランスジェンダーの思いとトイレを使っている女性の不安が衝突した出来事だと思うが、性自認は目に見えないため周囲の人たちは外見などで判断するしかないのが現状だ」としたうえで、どうすれば多様な性を認めながら共に生きていけるか考えていく必要があると指摘しています。

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“女性用”とされるものが好きなら自認が女性ということになるのだろうか。

トランスジェンダーであることが確認される(どうやって?)と、刑事事件として扱われるかどうかは一気に不透明になるようだ。

「心が女性」と言い張れば女性用トイレを利用できる、というのは誤解だと述べられているが、実際にそう言い張れば犯罪に問われない一例になるのではないだろうか。