差別的発言、国会に波及 LGBT法求める声拡大

差別的発言、国会に波及 LGBT法求める声拡大 (msn.com)

性的少数者(LGBT)や同性婚を巡り荒井勝喜前首相秘書官が差別的発言をした問題は6日、国会審議にも影響を与えた。衆院予算委員会は政府・与党の対応に反発した野党が一時退席するなど紛糾した。立憲民主党や共産党は、同性婚の法制化やLGBTの理解増進法案を今国会の争点に据える構えで、慎重な姿勢の自民党が守勢に回る可能性もある。

「多様性を尊重し、包摂的な社会を実現していく政府の方針について、国民に誤解を生じさせたことは遺憾で、不快な思いをさせてしまった方々におわびを申し上げる」

岸田文雄首相は6日昼の政府与党連絡会議で、荒井氏の差別的発言を巡ってこう陳謝した。国会審議に関しては「政府として緊張感を持って臨み、丁寧な説明を尽くしていく」と語った。

ただ、同日午前の衆院予算委は波乱の展開となった。

立民など野党は、同委の冒頭で、松野博一官房長官による荒井氏の更迭の経緯説明と謝罪を要求。根本匠委員長が拒否し、職権で同委の開会を決めたため、野党は抗議して退席した。

与党が野党の要求を受け入れるまで審議は中断し、最終的に松野氏が「国民の皆さんに誤解を生じさせたことは遺憾であり、おわび申し上げる」と陳謝した。

審議に復帰した野党は、荒井氏の発言を巡って集中的に政府に質問を浴びせた。8日に首相が出席して開かれる同委の集中審議で、野党は直接、荒井氏に関する任命責任を追及していく考えだ。

立民などは、今回の一件を受け、同性婚の法制化や超党派有志がまとめたLGBTへの理解増進を図る法案の成立を主張していく方針だ。LGBT法案は主要野党のみならず、公明党も推進の立場をとる。

公明の山口那津男代表は6日の政府与党連絡会議後、法案を巡って「自民がもう少し積極的になっていただくことが国民の全体の意識を受け止めることにつながるのではないか」と記者団に述べ、自民に提出を促す考えを示した。

一方、自民党の茂木敏充幹事長は6日の記者会見で、法案について「わが党においても、引き続き提出に向けた準備を進めていきたい」と述べた。

自民では昨年5月に法案の是非を審査したが、「性的指向および性自認を理由とする差別は許されない」とする目的と基本理念をめぐって異論が相次ぎ、了承を見送った経緯がある。

ただ、今年5月には広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が控えている。人権問題への日本の姿勢を示すべきだとして、首相や自民に法整備を求める声が強まることも予想される。