トランスジェンダーの権利訴え、院内集会~未来を奪わないで~

トランスジェンダーの権利訴え、院内集会~未来を奪わないで~ | OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

トランスジェンダーの置かれた状況を国会議員に訴えようと、10月12日、国会内ではじめて、トランスジェンダーの当事者ら約130人が集まり、院内集会を開いた。与野党の国会議員20人あまりが参加し、「しっかり学んでいきたい」などをあいさつした。

主催したのは、昨年、発足した市民団体「トランスジェンダー・ジャパン」。トランスジェンダー当事者や専門家らが、性別変更の難しさや、就学・就労などでの課題、インターネットを中心に誤った情報に基づく差別的な言説が増えていることなどについて危機感を訴えた。

普段は男性として生活し、女性パートナーがいる鈴木げんさんは、戸籍上の性別を変更する条件に、性別適合手術が必要な日本の制度を批判。戸籍を男性に変えるために、保険適用もない手術を受け、一生涯、男性ホルモンを投与し続けなければならないことについて、「望んでいない」と訴えた。

子どもの未来を奪っている

「性別で分かれることに苦痛を感じていることが軽視されがちだと思う」という小学1年生からのメッセージを読み上げたのは、「トランスジェンダー生徒交流会」の世話人をしている土肥いつきさん。「この子の未来を、小学1年生の時点で奪ってしまうことになるんです」と訴えた。さらに、学校に多目的トイレがないという生徒の訴えを紹介。多目的トイレを作るのには予算がいるが、「お金と子どもの権利を比べたとき、お金をとってしまっている」と指摘した。

大阪公立大学教授の東優子さんは「女性問題を取り組むのはなぜか。それは女性が可哀想だからではない。何人も性別を理由に差別をされてはいけないから。」「トランスジェンダーの問題に取り組むのはなぜか。それは何人もジェンダーアイデンティティや性自認・性表現によって差別されてはいけないから。」とトランスジェンダー問題は人権問題であることを強調した。

冷静な議論を

性別適合手術を受けていないトランスジェンダー当事者が、女性を脅かす存在であるかのような認識があることについて、集会の主催者でトランスジェンダー・ジャパンの共同代表・畑野とまとさんは、「感情的にならず、科学的な見地で見てほしい。」と指摘。性別適合手術を強制することは、優生保護法による強制不妊手術と類似している面があるとして「過去に日本はこのことで失敗を繰り返している。」「今後はこのような失敗を繰り返さないよう、海外の動向を踏まえつつ、日本も人権国家を目指してほしい。」と訴えた。

トランスジェンダージャパンは11月12日に新宿でトランスジェンダーの人権や尊厳を訴えるデモであるトランスマーチ2022を行う。