イギリス政府はセルフIDによる性別変更計画を取り下げる方針

Trans people will not be allowed to self-ID as government reform scrapped – Metro

ボリス・ジョンソン、ジェンダー変更を容易にする計画を取り下げる (thelondoneconomic.com)

イギリス政府は、トランスジェンダーが医学的な診断を受けずに「セルフID」によって法的な性別を変更できるように計画を立てていましたが、それを取り下げる方針のようです。

テリーザ・メイ首相は、2004年に制定された性別認識法を見直し、イングランドとウェールズでの「セルフID」を認めることを約束していました。しかし、リズ・トラス女性平等相は、法律を変えるのではなく、性別認識証明書を申請するプロセスと経験を「より優しく、より分かりやすく」すると述べました。

トラス大臣は「トランスジェンダーの人々が、現代の英国で自由に生活し、繁栄することを望んでいます」と記しています。

具体的には、性別変更の手続きをオンライン化し、料金は140ポンドから「わずかな額」に引き下げられるとトラス氏は述べています。新しい3つのジェンダークリニックは、2年間で1,600人の患者の待ち時間を短縮することが期待されています。

ジェンダー改革に批判的な人たちは、「セルフID」が認められると、自分はトランスであると主張する男性が女性専用のスペースを利用しやすくなるだけでなく、子どもたちが取り返しのつかない治療を受けることになるのではないかと懸念しています。

同時にイギリス政府は、避難所や公衆便所などの女性専用スペースが男性の身体を持つ人に利用されないように保護するための、新たな措置を準備しているようです。

これに対し、LGBTQ+の慈善団体であるStonewallは、政府が「性別認識法を改革するという約束を大幅に下回っており、LGBTの平等を進展させる重要な機会を逃している」と述べています。

イギリスでは99%のトランスジェンダーが元の性別のままの体である – What is transgender? (hacca.jp)

先日の記事でも述べた通り、99%のトランスジェンダーが元の身体のままという現状を踏まえ、トラス氏はセルフIDの促進よりも既存の性別変更制度の利用促進を目指しているようだ。

しかしこれは、Stonewallの指摘の通りセルフIDの実現からは遠ざかった措置と言えるだろう。
トラス大臣の今後の采配に注目していきたい。