67歳で女性になったトランスジェンダー

67歳で女性になったトランスジェンダー(CBCテレビ) – Yahoo!ニュース

向き合い続けた本当の自分。“生きづらさ”と“違和感”。その正体に気づいたのは還暦手前。そして67歳で女性になりました。「年齢なんて関係ない!自分の心のままに生きたい!」女性として歩み始めた、第二の人生を追いました。

トランスジェンダーの小嶋小百合さん(68)。愛知県小牧市で約20年前から高齢者を対象にしたパソコン教室を開いています。

「このファイルの消し方は?」(生徒)
「そんな所で消したらいかんわ」(小嶋さん)
「どうすればいいの?」(生徒)
「ファイル名の書いてある所へいって。ファイル名の書いてある所へいって!」(小嶋さん)

ちょっとだけスパルタ指導のパソコン講師ですが、生徒がパソコンを使って何か作品を完成させると、一緒に喜んでくれる優しい一面も。
そんな小嶋さんの人柄に惹かれ、パソコン教室にはオープン当初から約20年間通い続けている生徒もいます。

小嶋さんは小学生の時から、生きることにどこか違和感がありました。生きづらさのあまり「死にたい」と思ったことも。

「一時は死にたいと思ったこともありましたが、その原因が全然わからなくて生きづらさをずっと感じていました」(小嶋さん)

当時は「性同一性障害」という言葉もなく、その違和感の正体がわからないまま大人に。結婚もして、子どもにも恵まれましたが、十数年間の結婚生活の末に離婚しました。その後も自分がトランスジェンダーだと気が付かないまま男性として生きてきました。

そして還暦目前だった58歳のとき、名古屋市でLGBTのパレードに参加したことで違和感の正体に気付き始めます。

64歳ではじめて「性同一性障害」の診断書をもらい、安堵したと言います。そして去年、67歳で性別適合手術を受け、名前を「小百合」に変更。戸籍上でも正式に女性になりました。

「手術受けずに女性として生きるのはだめでした?」(記者)
「私はだめでしたね。やっぱり女性として生きたいというのが強くて。かわいくなりたい、きれいになりたいという思いがずっとあります」(小嶋さん)

色んなジャンルのかわいい服をいっぱい着るのが今の目標。これまでの時間を取り戻すかのように女性としての第二の人生を謳歌しています。

「もっと若い頃に色んな服を着たかったけど、仕方ないですね。この歳になってできるようになりました」(小嶋さん)

去年、声帯手術も受けたのですが、まだ声は安定していません。そこで、かわいい声を出せるようにするため、オンラインでボイストレーニングを受けています。講師は、トランスジェンダーでタレントの西原さつきさん。この日のレッスンでは、西原さんの本を朗読しました。

「(※朗読)きっとこの体で生まれたことに何か意味があるはずだと。もしかするとこの先の未来につながることかもしれない。自分のことを話すことで誰かに勇気を届けられるかもしれない」(小嶋さん)

思いがけず、こみあげてきた涙。蘇ったのは、生きづらかった頃の記憶です。

「本の内容が自分と被り、こみあげてくるものがありました。これ以上読めませんでした」(小嶋さん)

自分らしく生きることに「年齢なんて関係ない」と話す小嶋さん。生きづらさを感じている人たちには、後悔のないように自分らしい人生を歩んでほしいと願っています。