性的指向や性自認に対する治療は有罪とする新法が可決ーフランス

France bans gay ‘conversion therapy’ with new law | AP News

「LGBTの治療」をフランスが満場一致で禁止へ、カナダに続く – GIGAZINE

フランスの国民議会が2022年1月25日に、LGBTの人々の性的指向や性自認を矯正しようとする、いわゆる転向療法を正式に違法とする法律の改正案を全会一致で可決しました。

同性愛やトランスジェンダーを何らかの異常だとみなして治療しようとする転向療法は、近年では科学的根拠のない疑似科学だと考えられており、カナダなど法律で違法化する地域も出てきています。

こうした動きに続き、フランス国会は1月25日に、転向療法を禁じる法律案を142対0の全会一致で採択しました。この新法は、「性的指向や性自認の修正または叱責(しっせき)を目的とした持続的な取り組み」を禁止するもので、これに違反し被害者に身体的または精神的な影響を与えた者は、最高で2年の懲役刑と3万ユーロ(約385万円)の罰金が科されることになります。

法律の制定に尽力したLaurence Vanceunebrock議員は、「この法律は、特定のアイデンティティや性的指向を病気と同一視するすべての人を対象としたものです。彼らが治すものなど何もありません」とコメント。エリザベス・モレノ男女平等・多様性・機会均等担当大臣は「転向療法は野蛮で、これによって与えられた苦痛は被害者の体と心に消えない傷を残すものでした」と述べて、新法を歓迎しました。

また、新法は被害者本人だけでなく、活動家など第三者が被害者に代わって民事訴訟を起こす道を開くものです。フランスの国民議会はこの点について、「警察への通報をためらったり、自ら通報することができなかったりする人々にとって画期的な前進」と評価しています。

新法は、エマニュエル・マクロン大統領の署名から14日以内に発効します。マクロン大統領はTwitterに、「転向療法を禁止する法律が満場一致で採択されました!誇りに思いましょう。転向療法のような無価値な方法は、我が共和国にはふさわしくありません。なぜなら、自分らしくあることは罪でも病でもないのですから」とツイートしました。