トランスジェンダーの学生が女性用トイレを使用希望…あなたが職員ならどうします?誰もが持つ無意識の偏見

トランスジェンダーの学生が女性用トイレを使用希望…あなたが職員ならどうします?誰もが持つ無意識の偏見(OBS大分放送) – Yahoo!ニュース

突然ですが、男の子が赤いランドセルがほしいと言ったらどう思いますか?何となく「赤は女の子かな」といった無意識の思い込み。こうした考えに気づこうという取り組みが進められています。

■誰もが持っている無意識の偏見…ゲームで対話

性別による役割分担意識など自分で気づいていないものの見方を無意識の偏見=アンコンシャスバイアスと言います。例えば「組織のリーダーは男性が向いている」「営業は男性、事務は女性」「家を継ぐのは男性」といったケースが無意識の思い込みと言われ、誰もが持っているものとされています。企業では採用や昇進などに影響を与えることも指摘されています。
大分市で先月30日、アンコンシャスバイアスをゲームで学ぶセミナーが行われました。セミナーはアンコンシャスバイアスへの理解を深めるため県職員を対象に開催。ゲームではキャリアや育児、LGBTQ対応など職場で起こりがちな問題に対して各自の判断とその理由を話し合いました。

セミナーで出された問題です。Q.女子大学に入学予定のトランスジェンダーの学生が女性用トイレの使用を希望している。大学職員のあなたは使用を認める?認めない?

認めないと判断したセミナー参加者: 「女性用トイレに肉体的観点から男性が入るのはどうかなと思う」

認めると判断したセミナー参加者: 「トランスジェンダーの方が自分のトイレをすごく困っているという事実も知ってもらいたし、それと性犯罪は別だと思う」

トイレの出題について大分県女性活躍推進監の河部明美さんは「ベストの答えを出すのは難しいが、様々な意見を持っている人がいることを知ってほしい。決して自分の意見を相手に押しつけず、組織や社会全体でどうしたらよいのか話し合い、改善につなげてほしい。まずは無意識に思い込んでいるアンコンシャスバイアスに気づいてもらうことが大事」と話しています。 また、参加した職員からは個人で物事の捉え方が違うことや対話によって良い解決法を見出せたといった声が聞かれました。

セミナー参加者: 「多様的な考え方も入ってきてると思いますので、自由に活発に(議論)する中で職場にいかしていきたい」

■男女平等とは言えない…民間企業で意識改革の取り組み進む

一方、民間企業でもアンコンシャスバイアスの取り組みが進んでいます。従業員の6割以上を女性が占める損害保険大手の損保ジャパンは多様性を認め、誰もが働きやすい職場作りを推進しています。この日、大分支店では社員が集まって無意識の思い込みについて率直に考えを出し合いました。

女性社員: 「男性と意見が違うと感じる部分はあるが、それぞれの意見を聞きながらやっていけばいいのかな」

女性社員: 「得意な人が得意なことをやって生き生きとできた方がみんながやりやすいだろうと思います」

損保ジャパンでは働き方の多様化に対応し制度を充実させる一方で、社員の意識を変える取り組みも進めています。 損保ジャパン大分支店・大西章泰支店長: 「重要なのは職場にある偏見、思い込み。無意識の中の心の壁のようなものを打ち崩していくことこそが制度に魂を入れるという中で大切なこと」 大分県の調査では「男性は仕事、女性は家庭」という考えに「同意しない」と答えた人は56.7%。「どちらともいえない」が34.6%となっていますが、「男女の地位の平等感」については、「どちらかといえば男性の方が優遇」と答えた人が57.1%と最も多く、「平等である」と回答した人は13.9%にとどまっています。 多様性を理解する動きが進められる中、まずは自分が持っているアンコンシャスバイアスに気づき、その影響を意識することが大切といえます。