「トイレ」で考えるLGBT 小学校で「性の多様性」特別授業

「トイレ」で考えるLGBT 小学校で「性の多様性」特別授業 | 長崎新聞 (nordot.app)

パートナーシップ宣誓制度のさらなる広がりや同性婚の実現には社会の理解が欠かせず、学校現場でも性の多様性を考える取り組みが始まっている。長崎市の小学校教諭、西川操さんは約5年前から独自のプログラムを作り、特別授業を実施している。


10月29日、市立村松小。「きょうは学校の中で行ったことがない所に行ってもらいます。男子は女子トイレに、女子は男子トイレに行ってみましょう」。西川教諭は3年生70人を前にこう切り出した。「え~!」。子どもたちは驚きためらいながらも、4人一組でトイレへ向かった。西川教諭は「いつも使うトイレとどこが違う?」などと声を掛けながら子どもたちの反応を確かめた。


教室に戻った後、ある女子児童が「男子トイレだとやりにくいと思った」と感想を述べた。ここで西川教諭は体は「男」でも心が「女」の人が世の中には存在すること、またその逆の人がいることも紹介し、「そういう人たちは“やりにくい”という感覚を毎日持ち続けている」と説明。多目的トイレなど性別に関係なく利用できる「みんなのトイレ」の設置が進んでいることも教えた。


この後、西川教諭が男女で区別されているものを挙げるよう促すと、服装、髪形、更衣室などさまざまな答えが返ってきた。こうした従来の区別に性的少数者(LGBT)が苦しまないためにはどうしたら良いか、数人のグループに分かれて議論。トイレについて考えたグループは「すべて便座に座れるようにしたらいい」と提案した。入野明斗(はると)君(9)は「いつも考えることがないテーマだったので難しかったけれど、面白かった」と振り返った。


西川教諭は男女平等教育の研究を進める中でLGBTの存在を知り、そうした人々の気持ちを理解する大切さを子どもたちに知ってほしいと思ったという。西川教諭は「子どもたちには成長過程でさまざまな社会とつながりながら、自分らしくありのまま生きていってほしい」と述べ、「年齢に応じた授業を継続的に実施することが大事。教員側の知識の更新も欠かせない」と話した。