スポーツカナダ、「トランスフォビアである」との苦情を受け女性アスリートへの調査を中止

Sport Canada Stops Survey of Female Athletes Following Complaints of ‘Transphobia’ – Women Are Human

Sport Canada To Stop Survey After Complaints Of Discrimination Against Transgender Athletes – National | Globalnews.ca – WorldNewsEra

2022年5月6日、アメリカの団体「アスリート・アライ」は、200人以上の学者やアスリートとともに、スポーツカナダに公開書簡を送り、女性アスリートに対する「トランスフォビック」な調査について苦言を呈しました。

スポーツカナダが作成したこのアンケートは、女性競技に男性アスリートを含めることについての意見を求めるものでした。

アンケート内で「トランス女性(生物学的男性)」と言及していることについて、「アスリート・アライ」の公開書簡では「生物学的男性」という表現は「トランス排除の立場を示すコード」であり、「参加者に明確な偏見を与え、助長している」と主張されています。これに対し、スポーツカナダは3日後、調査を中止すると発表しました。

また、この公開書簡では、「思春期に関連した男性の優位性」に言及することは「トランスフォビア的で科学的に正しくない用語」であり、「運動をしていないトランス女性(生物学的男性)における思春期に関連した筋肉の優位性」について引用した証拠は、「スポーツに関する政策決定をする上で決定的ではない」と述べられています。

しかし実際に、テストステロンの抑制がスポーツにおける女性に対する男性のパフォーマンスの優位性を取り除くものではないことは、研究により一貫して確認されています。

このスポーツカナダによる調査を実施していたのは、2019年にイギリスの女性オリンピック選手15人を対象に調査を行ったことのあるキャサリン・デバイン氏です。

2019年のガーディアンの記事によると、15人のうち11人が男性の思春期を経験したトランスジェンダーのアスリートが女性のスポーツで競技することは決して公平であり得ない」と同意し、もう1人は回答を辞退しているとのこと。

デバイン氏は、調査で使用している言葉は「普遍的に認められた科学的な言葉」であると反論しています。

また、内分泌学会の科学的声明においては、次のように述べられています。
「性は重要な生物学的変数であり、ヒトや動物の研究の設計と分析において考慮されなければならない。セックスとジェンダーという言葉を同じ意味で使うべきではない。性は二分化しており、受精卵で性が決定される。性はジェンダーと同じものではなく、これらの用語を同等物として使用することは、社会一般に実在し重要である差異を無視するものである。

一方、スポーツカナダが調査を中止したことを受けて、女性団体の「カナダ女性とスポーツ」は撤回を支持する声明を発表し、「『カナダ女性とスポーツ』は、スポーツにおけるトランスジェンダーの存在とトランスジェンダー女性は女子スポーツに属していると信じています 」と宣言しました。

しかし不思議なことに、女性以外を自認する女性アスリートがどのチームに所属しているかについては何も表明していません。

「アスリート・アライ」の公開書簡の署名者の一人であるクインは、カナダのプロサッカー選手です。2020年、クインは「ノンバイナリー」であることを「カミングアウト」し、カナダが金メダルを獲得した2020年カナダ女子オリンピック代表をはじめ、女子チームでプレーを続けています。