誰もが来られる学校に 小学校にレインボーアート 三重

誰もが来られる学校に 小学校にレインボーアート 三重:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 誰もが安心して来られる学校にしたい――。そんな小学生たちの思いを込めたペンキアートが、三重県鈴鹿市立郡山小学校の階段に子どもたちの手によって施された。テーマは多様性を表す「レインボー」だ。

 6年生の全児童45人が卒業制作として取り組んだ。名付けて「レインボープロジェクト~いろんな個性を色に~」。きっかけは昨年12月に開かれた、6年生を対象にした出前授業だった。講師はトランスジェンダーの子を持つ浦狩知子さん(58)。自身の経験などを語ると、子どもたちは真っすぐ目を見て話を聞いてくれた。

 6年生が卒業制作に向けた話し合いをするなか、一人の児童が正面玄関前の階段をレインボーカラーに色づけることを提案。すぐに児童8人で実行委員会を結成し、「浦狩さんの話を聞いて私たちにも何かできたらと思った」と書いた企画書を作った。企画書を持って中野誉校長(57)に直談判すると、すんなり決まった。

 色づけ前の階段は近所に住む住民らが清掃した。子どもたちは今月1日から図工の時間や休み時間を使い、水性ペンキで色を塗る作業を始め、1週間ほどかけて完成させた。14段の階段は鮮やかな6色のレインボーカラーに染まった。企画を提案した児童は「応援する人がいたら安心できる。みんなが安心して学校に来てほしい」と話す。

 6年生の取り組みは卒業制作だけでは終わらなかった。下級生に浦狩さんから聞いた話や性の多様性について伝えようと、朝のホームルームで各教室を巡った。そしてこう説明した。「見た目と中身が違うことがあります。でも、それは当たり前のことです

 子どもたちの手で彩られた階段は大きな校舎を支える土台にも見える。中野校長は「いつまでも子どもたちの思いが郡山小を支えてくれる気がします。学校の宝になりました」と話す。

 浦狩さんは「多様な性は当事者よりも周りの支援者が動くことで理解が進んでいく。子どもたちが自発的にしてくれたことに、うれしくて涙が出る思いです」と喜んでいる。(大滝哲彰)