レイプ犯を「女性」として記録するスコットランド警察の不条理

‘Absurdity’ of police logging rapists as women | Scotland | The Sunday Times (thetimes.co.uk)

 スコットランド警察は、男性器を持つ犯罪者によるレイプを、その攻撃者が「女性を自認している」場合には、女性が行なったものとして記録すると発言したことで批判されている。スコットランド警察は、告発された人物がそう主張すれば、法的に性別を変更していなくても、レイプを女性が行なったものとして記録すると述べた。

 日曜日に『スコティッシュ・サン』紙が報じたこの動きは、一部のフェミニスト・グループが反対している、自分の望む性別を自認することを容易にするための新法の提案に先立つものだ。スコットランド政府は、性別認識証明書(GRC)を取得する際の医療チェックを廃止し、法的に認められるまでの新しい性別での生活期間を短縮したいと考えている。

 スコットランドの元司法長官であるケニー・マカスキル氏は、スコットランド警察に対し、新法施行後のレイプ事件の記録にどのように対処するかを質問した。警察本部長補(assistant chief constable)〔警察組織において上から3番目の地位〕のゲイリー・リッチー氏は、レイプ犯が女性として記録される可能性のあるシナリオを示した。

 その中には、「男性として生まれた人が、完全な性別認識証明書(GRC)を取得した後、レイプを行なう場合」と「男性として生まれたが、女性を自認し、完全なGRCを持っていない人が…レイプを行なう場合」が含まれていた。2009年に制定されたスコットランド性犯罪法(Sexual Offences (Scotland) Act 2009)では、レイプを「ペニスによる非合意的な挿入」と定義しているため、男性器を持たない人がレイプを犯すことはできない。

 スコットランド国民党(SNP)から離党してイーストロージアンのアルバ党議員となったマカスキル氏は、次のように述べている。「弁護士として20年、司法長官として約8年、いろいろと法律上の不条理を目の当たりにしてきました。しかし、これはその中でもトップであり、危険なものです。身体的に不可能であり、常識を覆すドグマに基づいています。女性の受刑者はこれによって被害を受け、きわめて重要な犯罪統計は役に立たなくなります」。

 性別認識法(Gender Recognition Act)の改革計画は、昨年度の議会でスコットランド国民党(SNP)政府が内部分裂や女性の権利に関する懸念から棚上げにされていたが、SNPと緑の党のホリールードでの連立協定では、来年半ばまでにこのプロセスを完了させることが約束されている。

 政策分析グループ「マレー・ブラックバーン・マッケンジー(MurrayBlackburnMackenzie)」は、スコットランド警察に対し、レイプやレイプ未遂で起訴された人の性別を正確に記録することを義務付けるようキャンペーンを行なっている。このグループのメンバーであるリサ・マッケンジーは次のように警告している。「このような犯罪では、わずか数件の誤分類で統計が歪められてしまいます」。

 フィル・カパルディ刑事部長は、次のように述べている。「警察と接触した個人の性別ないしジェンダーの識別は、組織の価値観に合致した、その人の提示方法や自己申告の仕方に基づいて行なわれます。スコットランド警察は、当人の自己申告以外に生物学的性別やジェンダー・アイデンティティを証明する証拠や証明書を必要としませんが、それが関連する捜査に関係する場合は除かれます」。